中学・高校で吹奏楽に出会い、音楽の道に進みたいと思う人は多いようです。
実際、私の教室にもよく相談に来る方がいらっしゃいます。最近ではミュージカル科や音楽マネジメントコースといった専攻もあるので、音大の中でも目指すコースによって勉強する項目が違ってきます。
「音大の資料を取り寄せて見たものの、何が書いてあるのかさっぱりわからない」という声も聞きますので「音大受験には何を勉強したらいいか?」について書いていきます。
目次
1.専門科目(専攻楽器)
まずは専攻する楽器の練習です。専攻科目は実技試験がありますので、これは一朝一夕にできるものではなく日々練習を積み重ねていかなければなりません。
- ピアノ
- 声楽
- 弦楽器
- 管楽器・打楽器
- 大学によっては和楽器なども。
そして専攻楽器によってそれぞれ課題があります。
声楽はからだが楽器ですが、それ以外は楽器という「道具」の操作技術を見るという意味で「音階を演奏させる」という試験は定番です。ハ長調・ト長調・ヘ長調…などなどすべての調が弾ける(吹ける)ようにしておくことです。
そしてそれ以外に、課題曲・自由曲を演奏することになります。
2.音楽理論(楽典)
これも必須の科目です。この科目は「全問正解があたりまえ」という心構えで取り組まなければなりません。
- 音名(ドイツ音名、派生音(♯とか♭)の読み方など)
- 音程(長短・完全・増・減など)
- 調性(長調・短調の種類、その関連性、調性判定など)
- 転調・移調
- 音楽用語
虎の巻ともいうべき本があって、音大受験者の多くが使っています。
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解説と問題集が一冊にまとまっているので、これだけはひとまずやっておくことです。
何度も繰り返し問題を解いて、時間短縮を目指すことも大切。とにかく楽典は満点をとるつもりで。
3.聴音
これは文字通り「音を聴く」
でもそれだけではありません。聴いた音を音符にします。それもいろいろ種類があって、
- 単旋律(ひとつのメロディを聴いて書く)
- 二声(二つの旋律を聴いて書く。ト音記号の五線に2つの場合もあれば、ト音記号&ヘ音記号の大譜表になることもある)
- 和音(旋律ではなく和音をジャーンって鳴らされて、それを聴き取る。四声(最低音ひとつ&上に3つの音)になっていることが多い)
国公立だと二声や和音聴音が入ることもありますが、私立音大では単旋律聴音が一般的です。(入学したら授業でやります)
聴音は幼児期に音と触れ合う経験をしているか否かで差が出てきます。子どもは音を感覚でとらえるので「なんとなく」わかってしまう。絶対音感が身につくのも、才能ではなく幼児期の環境と感覚なのです。
大人になってから「これ何の音だろう?」と考えてしまうと、考えすぎてわからなくなってしまう(私がそうでした(-_-;)聴音、苦手)
それでも、訓練すれば少しはできるようになります。あきらめないこと。
聴音は音の高低もつかみながら、リズムの勉強をするのにも役立ちます。そうすることで楽譜の理解も深まるというものです。うまくできなくてもやったことはムダになりません。
4.新曲視唱
聴音にしろ、新曲視唱にしろ、まったく音楽に関係ない人から見たら「神わざ」のようなことです。「そんなことできるのー?」っていうような。
新曲視唱はその場で渡された楽譜をいきなり歌う、というものです。
それも、歌いやすい美しいメロディではなく、
- 臨時記号で変な音が出てくる
- 転調があってどこへ向かっているのかわからない
- 音が異常に跳躍して歌いづらい
というような、意地悪なもの。試験だから仕方ないのですが。
これも聴音と同じで訓練することで少しづつできるようになってきます。が、逆にいえば訓練しなければできないので、大学受験のように期限があるものは、できるだけ早く着手して訓練期間を長く持つことが重要です。音大受験は早く準備すべし、というのはこういう事情があるからなんですね。
5.コールユーブンゲン・コンコーネ
音楽に関わっていない人には「なんじゃそれ?」の分野ですね。どちらも歌う練習です。
コールユーブンゲンの方が「機械的?」な感じでしょうか。いわゆる練習曲で、正確な音程を歌えるようにするもの。
コンコーネは伴奏がついていて、少しメロディックになっています。
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音楽を志すうえで、どんな楽器を専攻するにせよ、演奏者が心唱(=文字通り、心の中で歌うこと)するのはとても大切なことです。
なので、これらの声楽教本を課題にして「正しい音程で歌えるか?」さらには「その曲に合った表現ができているか?」をテストするわけです。
よくあるのは「コールユーブンゲンはほぼ一冊分が課題」・・・これは新曲視唱を同じととらえることです。つまり、一応練習はしておくけれど、すべての曲を覚えられるわけはないので「新曲を見てすぐ歌うのと同じ」ということです。
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6.副科ピアノ(ピアノ専攻以外の受験者)
どんな楽器を専攻していても、声楽専攻でも音大の学生にはピアノは必須科目と言えるでしょう。
ただし、その習熟度には差があります。特に中学・高校で吹奏楽部に入り音楽に目覚めた人などは、幼児期にピアノに触ったことがなかったという人もたくさんいます。
受験のためになんとか1曲仕上げた(-_-;)・・・なんていうギリッギリの人もいるはず。それでも入学後には副科ピアノのレッスンもあるので、なんとしても練習しなければなりません。練習あるのみです。
試験曲はあまり大きく変わることがないので、過去の試験曲を調べて早めに取りかかっておけば良いと思います。
まとめ
音楽大学を受験するには早めの準備が必要です。
専攻楽器で言うとピアノやヴァイオリンなどは幼少期から始めている人がほとんどです。声楽・管楽器・打楽器は比較的、年齢が上がってから始める人が多いのでスタートラインにそれほど差はありませんが、専攻以外に練習しなければならないこと・勉強しなければならないことがたくさんあるのです。
ですから、早めに準備することがまずは合格への近道です。
音大を卒業している学校の先生・ピアノの先生などに相談して一歩ずつ進めていきましょう。きっと道が拓けてくるでしょう!