大手のピアノ教室に講師として勤めているかたは、企画・運営にはあまり携わらないかもしれません。そのような立場であれば、とにかく生徒の演奏技術・質を上げることに専念していけばいいですね。
ここでは、自分(個人)で教室を開いていて発表会を企画・運営する場合のノウハウについてお伝えしていきます。
目次
発表会の企画、何をすればいいの?
まず、何をしなければならないか?をあげてみましょう。
- 会場の確保
- 発表内容の検討
- 生徒(とその家族)への告知・意志確認
- 発表会費の集金
- 個々の選曲
- 練習計画(ミニリハーサル)
- プログラム制作・記念品の発注・記念写真?
- 当日の運営(*あとで詳しく)
1.会場の確保
このように順を追ってあげてみると、最初にすることは会場の確保となります。
そしてこれが最初の壁となるかもしれませんね。
- 会場の大きさ(客席数=キャパシティー)
- ピアノの有無
- 音楽発表をする場所として適しているか?(反響板などの音響設備)
- 利用料金
- 会場までの交通手段
これらを調べて、自分の教室に適した場所なのかをよく検討しなければなりません。
それから会場の予約。これは地域によって差がありますが6か月~1年前というところが多いと思います。
ですから、発表会を開催する!と決めたら、まず1年前には動き始めなくてはなりません。
まずは1年前に会場確保
2.発表内容の検討
ここでは大まかに発表する演奏形態をどのようにするか、を決めたらいいでしょう。最近はピアノソロだけでなく、いろいろな工夫を凝らした発表をしている教室もあります。
- ピアノソロ
- 連弾(誰と?・・・先生、友達、家族、など)
- 全員合唱、全員合奏
- アンサンブル(ピアノと打楽器、ピアノと電子ピアノ、鍵盤ハーモニカ、リコーダー、など)
それによって生徒への負担も違ってくるし、どこに練習の重点をもってくるか?練習日程の検討をすることにもなります。
ただ、ピアノソロ以外の発表をするとなると、ご家族の協力が必要になる場合がありますので、その辺は慎重にしましょう。
発表はピアノソロのみ?ほかにも発表する場合は生徒・家族への負担、練習日程などを考えましょう
3.生徒への告知・意志確認
私は発表会が好きな子どもでした(大人になるとよけいなことを考えるので一概に好きとは言えない…(-_-;))
子どもはみんな好きなんだろうと思いきや、案外そうでもないものです。
「ピアノを弾くのは好きだけど人前で弾くのはイヤ」
また親御さんが躊躇しているために、子どもも感化されて出たくなくなっちゃう、とか。
私は「かならず出てください」とは言いません。
もちろん発表会に出ることはその子にとってとても有意義なことで、力も伸びます。
ですが無理やり「出させられた」という意識では価値は半減。もっとひどくなって「無理に出たおかげでピアノが嫌いになった」なんていうことになったら全くの逆効果です。
子どもだけでなくご家族ときちんと連絡を取り合って、参加の意志を確認するのが大切
4.発表会費の集金
会場によっては「予約金」「内金」というように早めに支払わなければならない場合があります。
とはいえ、1年も先の予定はわかりません。私はこのようにしています。
- 本人と家族の意思確認
- 参加の意志があれば練習に取り組む
- 内金などはひとまず先生の自腹で立替
- 発表会前1~2か月頃に集金
学校行事が入ってくる場合、学校の部活動で公式試合が入ってしまった、など学校関係のものはそちらが優先になってしまうでしょう。日程を決める時点である程度配慮するのですが、重なってしまうこともゼロではありません。
以前、運動会が雨で延期になって発表会と重なってしまった子がいました。その時は運動会が終わってから駆けつけてくれました。部活動の大会で午前中、目いっぱい運動して午後から来てくれた子もいます。その気があればどんな状況でも強いんだな~ってあらためて子どもの強さを感じました。
5.個々の選曲
これが結構大変です。
その子の実力に合った曲なら何でもいいかというと、そうでもなく、先生としてはやはりその子の個性や雰囲気などを考慮して決めたいと思うものですよね。
- 元気のいい子、活発な子
- おとなしい子、おっとりした子
曲のタイプもいろいろ
- クラシックのきっちりした曲
- ロマン派や印象派のような特徴的な曲
- ポップス、アニソン、ジャズなど
ココに注意
本人の意志も聞いてみた方が良いですよ。先生の思い込みで「この子にはこんな曲が合いそう」と決めてしまうと、案外本人の好みは違っていたり。
決められて弾く曲が本人の好みと合致していればいいですが、そうでない場合、練習ははかどらないものです。
逆に本人が「これを弾きたい」と言ってきた場合は、その意欲で実力以上の力を発揮してくれることもあります。そうなればしめたもの、実力底上げのチャンスです。
その子が持っている雰囲気や個性を大切にしながら、本人の意志を尊重しましょう。弾きたい曲があれば、ちょっと難しいかな?と思われるくらいの曲を選んでもいいと思いますよ。
6.練習計画
「〇月〇日に発表会だよ」と伝えても、なかなかピンと来なくてのんびりしている子もいます。
カレンダーを示して「あと5回レッスンしたら本番」などのように具体的に言ってあげるのも一つの方法です。
ピアノ以外にも発表演目がある場合は、さらに細かく練習計画を立てなくてはなりません。
学校のような強制力はないので、全員合奏・全員合唱などは集めるのがなかなか難しいものです。日にちの設定に余裕を持つようにしたらいいでしょう。
ココがポイント
子どものタイプによって仕上がり方もいろいろ。コツコツ地道に伸びていくタイプ、あるとき急に伸びるタイプ、ずっと低迷していて本番間近に急に仕上がるタイプ・・・いずれにせよ、子どもなりになんとか間に合わせてくるものですね。
7.プログラムの製作・記念品の発注・記念写真など
- プログラム
業者に発注してもいいし、自分でPCで作ってしまうこともできるでしょう。いずれにせよ、プログラムは必要なもの。作成の際には生徒の氏名(正確な漢字を含め)や演奏曲名に誤字脱字がないよう注意しましょう。
- 記念品
これはかならず必要、というものではありません。でも、がんばったご褒美にちょっとしたプレゼントをもらえるとうれしいものです。生徒たちの喜ぶ顔を想像しながら品物を選ぶのも楽しいですよ。
- 記念写真・DVD(ビデオ)など
教室によっては記念に全員で集合写真を撮ったり、発表の様子を録画してお渡しすることもあるでしょう。それについても業者さんに入ってもらう場合は早めに依頼しましょう。
「写真・ビデオ撮影禁止」の教室もあります。問題なのはSNSなどによる個人情報の流出です。SNSのルール(モラル)について各家庭に周知していただきましょう。
まとめ
発表会までの準備をまとめてみました。
催し物を企画するのは万全を期したつもりでもどこか抜けてしまったり・・・できれば一緒にやってくれるパートナーがいるといいですね。別に同業者でなくとも、家族や友人が手伝ってくれると心強いかと思います。
また、自分の教室だけでは人数も少ないとか、発表会を一緒にやりたいという同業者がいれば、合同発表会というかたちにもできますね。
いずれにせよ、準備は早めに。
当日の運営は後ほど記事にします~