「ほめて育てる」のと同じくらい大切なのが「叱る」こと。
子どもは未熟なんですから、叱らなければわからないこともあって当然です。
では、どんなときに、どんなふうに叱るのが良いのでしょうか?
子どもを叱らなければならない場面は?
- 他人に迷惑がかかるとき
- 公共のものに被害が及ぶとき
- 本人が危険であるとき
究極のところ、これくらいではないでしょうか?ですから、叱る場面というのはそうたくさんあるものではありません。
「叱っている」つもりが、実は大人が「怒っている」つまり大人の感情を出しているだけ、ということが、よくあるようです。人間ですからそれも仕方ないことではあります。(自戒を込めて)
でも、訓練というと大げさですがちょっとした習慣づけで、大人は感情をコントロールすることもできます。
感情的に怒ってしまって後悔するママ・パパも多いはず。冷静さを習慣づけていきましょう。
1.他人に迷惑がかかるとき
幼稚園や保育園に入ると、必然的に「人間社会」を学ぶことになります。
それまで家庭の中だけで自由気ままにしていたことが、そうはいかなくなってくるのです。でも心は未熟、思い通りにしようとすれば周囲との衝突が起きても不思議ではありません。
その衝突をすべてなくすことはありません。小さな衝突を繰り返しながら、解決策や回避方法、打開策・妥協案、いろいろな対応策を編み出して、それで成長していくものですから。
注意すべき点は、それをすることで相手に大きな迷惑をかけてしまうこと。
ココがポイント
叱るべき場面は・・・たとえば、
- お友だちを殴る、けがをさせる
- 他人の物を盗む(幼児だと本人には自覚がない場合も?→その場合は「叱る」ではなく「諭す」)
- 嘘をついて誰かをだます
人間社会にはどうしても制限が必要になってきます。自分勝手に生きていくわけにはいかないんですね。それを教えていかなければなりません。
2.公共のものに被害が及ぶとき
前述の「他人への迷惑」と同じことですが、対象が公共のものとなると今度は法律に触れることも考えられます。「未成年だから許される」ではなく、未成年のうちにきちんと学習しておかなければならないのです。
社会ルール、社会マナーをきちんと教えるために「叱る」というのは、大人の義務とも言えるかもしれませんね。
3.本人が危険であるとき
子どもは未熟。知力・体力ともに未熟です。ですから、自分が危険にさらされても気づかないこともあります。
- 高いところから落ちる危険
- 刃物などで自分のからだを傷つける危険
- 交通事故・水難事故・誘拐など、事件・事故の危険
ココがポイント
ふだんから関連ある場面でたくさん話をして土台を築いておきましょう。子どもは素直に受け止めるでしょう。
しかし実際、本当に危険にさらされたときには真剣に叱る。「注意する」よりも、もっと切羽詰まった「叱る」態度を見せることで子どもには強く印象付けられるのではないでしょうか。
「叱る」と「怒る」の違い
自分ではわかっているつもりでも、なかなか区別できないのがこの2つ。
「叱る」は教育的な根拠があってするもの。
「怒る」は自分の感情が先行して起こること。
ざっくり、こんな感じでしょうか?
理想は、常に冷静に、目の前の子どもの未来を考え、この子にとって「良い」と思われる方向に導く・・・
なんでしょうが、実際には親だって人間ですから、そんな神様みたいなことが常にできるわけがありません。
世の中のほとんどの親御さんが、「つい感情的に怒ってしまって後悔した」という経験を持っていると思います。みんな同じ。
そして「次は気を付けよう」と思ってるんだけど、また同じことをして・・・何度も何度もそんなことを繰り返しながら、少しづつ親も成長していきます。
親が子に育てられる=親子でともに成長していく
だから失敗もあります。「叱る」が「怒る」になってしまったら、そこから修正して親として少しづつ成長していきましょう。
ココがポイント
「叱る」と「怒る」は別ものです。でも人間の感情がなくなってしまったら子どもには何も伝わりません。親御さんの心の奥に「愛情」があれば叱っても怒っても子どもに伝わるはず。
叱り方のコツ・ポイント
1.すぐ叱る
「これは叱らなきゃ」と思ったら、すぐ叱ること。
あとになって「あの時こうだったのは良くないわよ」と言っても、子どもはすっかり忘れているでしょう。それではまったく無意味、効果なしです。
2.本人のプライドを尊重する
子どもって大人が思っている以上にデリケートでプライドが高かったりします。
叱られているのを誰かに見られるのは「恥ずかしい」と思うもの。仲のいいお友だちの前や、親類・知人の前、または逆にまったくの他人でも叱られているのを見られるのは気分が良くありません。
すぐに叱るのが大切ですが、周囲の状況をよく見て判断しましょう。たとえば人のいない物陰などでしっかりと向き合って叱る。本人のプライドを傷つけない配慮です。
3.簡潔に叱って、長引かせない
子どもが集中できる時間は短いです。
「とても大事なことだから」と、大人はながながと、こんこんと諭したくなりますが、それも逆効果ですね。
最初の数分は神妙に聞いていたとしても、そのうち上の空になってしまいます。
ポイントをきちんと掴んで簡潔に叱ることです。
それで何度も同じ失敗をしてしまうのであれば、何度も繰り返し叱ることです。
ココがポイント
子どもの教育は根くらべ。子どもがしっかりと成長するまで親は何度も叱らなければならないかもしれません。一回ですぐわかる子もいればそうではない子もいるし、また叱られることで親に甘えている子もいるかもしれませんね。いずれにせよ親が愛情をもって叱ればかならず子どもに伝わります。