ピアノ

子どもにピアノを習わせると何がいいのか?

私はピアノの先生なので、これからお伝えすることはメリットばかりになるかもしれません、あしからず。

指を使うこと

単音:指の鍛錬・指の独立

「ホムンクルスの図」という「脳とからだの関係」を表した図があります。

私のような素人が見てもわかることは手と顔(目・鼻・口・舌)が大きく関わっているんだな、ということです。逆に胴体部分=内臓は生命維持には欠かせない大切なものですが、脳とのつながりは弱いようです。

手・指を使うことは脳への強力な刺激になります。

ピアノを弾くには「指の鍛錬」が必要です。速く動かしたり、強い力で鍵盤を打ったり、力をコントロールして弱い音を出したり。

そして「指一本一本の独立」というのも特徴です。

ピアノはオーケストラを小型にしたものと捉えることもでき、たくさんのパート(楽器)を一人で一度に演奏するような曲もあります。

そうなると「主役の音」「脇役の音」「背景」「スパイス」など、いろいろな役割の音を一人の手で演じなければならないのです。

ですから指は隣の指に影響されることなく一本一本が独立して、自分の仕事ができるようにならなければなりません。

「指の独立」これは日常生活の中ではあまり意識されないことかもしれません。たいていのことは親指・人差し指・中指の3本でできてしまい、薬指・小指は添える程度。年齢が上がってからピアノを始める人の多くが苦労するのはコレです。子どもの頃からピアノに触れていると使わざるを得ないのですが、ピアノに関わらなければそれほど使う必要もないですからね。でも「使わないと退化する」薬指・小指は使ってあげることで力を発揮します。大人になってからでも使ってあげれば動くようになり、脳への刺激も活性化するでしょう。

和音(複数音):瞬時の把握

2~4個(またはそれ以上)の音を一度に鳴らすことを「和音」と言います。初心者が苦労することの一つでもあります。

一つの音符を読むのもままならないのに、いくつもの音が出てきたらもうお手上げ・・・そう思うのは大人の考え方です。

子どもの脳には、ピアノの鍵盤をおもちゃのブロックのように見る力があります。

「指でこことここを凹ませれば(鍵盤を押せば)この和音になる」

大人のように「ドとミとソを押して…(;'∀')」なんていちいち音の名前を考えたりしないのです。

凹んだ鍵盤とそこに入り込む指、それを想像できる能力がある、と私は考えています。子どもたちの力は感覚的ではかり知れないものです。

訓練していけば瞬時にたくさんの音を鳴らせるようになります。これは脳の容量が大きくなるということ、パケット量が増えるんですね。そこから記憶力・情報処理能力・注意力などいろいろな力に応用していくことも可能でしょう。たかがピアノ、されどピアノ、です。

楽譜を読むこと

楽譜は学校の音楽の授業で少しは習うとしても、ひらがな・カタカナのように誰でも読めるものではありません。とはいえ日常的に使うかと言えばそんなこともない。ではどうして「楽譜を読むこと」に意義があるのでしょうか?

音符の違いに気づく

楽譜を読むことのポイントは「音符の違いに気づくこと」なのです。

幼児のピアノ教本はまず「ド」から始まり「レ」や「シ」のような近隣の音を徐々に増やしていきます。

近い音なんだけどどこか違う=違いはどこか?=差異に気付く

ちょっとした小さな違いに気付けることは、どんな分野にも応用できます。

「学習」の基本は分類・整理だと言われます。たくさんの情報・資料・データなどを分類すること、これが最初の段階です。そのためには「これとこれは同じ。これとそれは違う」というように個体の差異に気付かなければなりません。例えば昆虫などはほんのちょっとの違いで新種が発見されたりすることもあります。観察力を身につけることはあらゆる分野で活用できる強みになります。

曲の全体像をつかむ

音符一つ一つの区別も大切ですが、もう一つ大事なことがあります。

曲全体の仕組みをつかむ

本格的にやると「楽曲アナリーゼ」なんて難しいことになってしまいますが、そこまでいかなくてもいいのです。

私がレッスン中に経験したことですが、子どもの方から曲の構造に気付くことがあります。

「あ、これ(このフレーズ)さっき出てきた」

クラシック音楽に「ソナタ形式」という一種の定型があります。簡単に説明すると、一つのフレーズを聞き手に提示して→展開(発展)させて→もう一度最初のフレーズに返る(再現):提示部→展開部→再現部

その再現部で「あ!」と気付くんですね。

そのタイミングで説明するとぐんぐん吸収して、曲を仕上げるのも楽になったり早く仕上がるようになります。同時に論理的な考え方ができるようになるので、これまた一つの強みが育つわけです。

音楽に触れること

音楽に触れることが「情操教育」だなんて言われますが、それほど大げさに構える必要もないかと思います。幼児がピアノを習って、クラシック音楽を聴いたからといって、それがすぐ何らかのかたちであらわれることはないでしょう。

でも種まきの時期ではあります。

美しい音楽、心地よい音・メロディ・リズム、といったものを感覚でとらえられれば、忘れられないものとして心に刻まれると思います。

ピアノを習い始める幼児期は「情操教育」というより「感覚教育」ではないかと思います。感覚として「心地よい」「いい気持」「楽しい」と思える音楽に触れることで子どもの心が安定し、それが土台となって別の分野にも興味を示すようになれば可能性はどんどん膨らみます。心の安定を築くためにも音楽は幼児期に必要な教育だと思われます。


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