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【音楽豆知識】ハ長調とかヘ長調って何?~調性のお話

音楽高校・音楽大学受験にも役立つ楽典【音楽豆知識】です。

ハ長調とかヘ長調とか、聞いたことはあるけどいったい何?・・・という疑問にお答えしようと思います。

ハ、ヘ、って何?

これは音の名前です。

普通はド・レ・ミで呼びますが、ド・レ・ミはイタリア語。日本語で言うと「ハ・ニ・ホ」となります。

伊語 ファ
日本
英語 C D E F G A B C
独語 C(ツェー) D(デー) E(エー) F(エフ) G(ゲー) A(アー) H(ハー) C(ツェー)

そしてよく耳にする「ハ長調」というのは、ハ(=ド)から始まる音階のこと。

ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド

ピアノの鍵盤を見てください。ミとファ、シとドの間には黒鍵がありません。この2か所だけが「半音」の幅なのです。階段を一歩ずつ上がっていくんだけど、この2か所だけ幅が狭いのです。これが重要!

ちなみに半音以外のところは「全音」の幅になっています。ドとレの間に黒鍵があって、それはドのシャープ。(別の呼び方もあるのですがそれは後で)ドとドのシャープの間は半音、ドのシャープとレの間も半音、半音と半音を合わせて「全音」と言います。

(色のついた場所がド。右に向かってドレミファソラシド)

音階というのは音の配列が決まっています。つまり、全音ー全音ー半音ー全音ー全音ー全音ー半音、という並び順です。

〈ハ長調〉ドーレ(全音)レーミ(全音)ミーファ(半音)ファーソ(全音)ソーラ(全音)ラーシ(全音)シード(半音)

ハ(=ド)から上記の順番に並べていくとハ長調になります。同様にヘ(=ファ)から並べてみると、ヘ長調になります。

ファーソ(全音)ソーラ(全音)ラーシ(全音)…ここは半音でなければなりません。なので、シをフラット(♭=半音下げる。シのすぐ左隣の黒鍵)にしてラとシの幅を半音にします。すると、ちょうどいいことにシ♭とドの間が全音になり、こうなります。

〈ヘ長調〉ファーソ(全音)ソーラ(全音)ラーシ♭(半音)シ♭ード(全音)ドーレ(全音)レーミ(全音)ミーファ(半音)

ヘ長調はシに♭(フラット)が付く調で、この曲の中ではシはいつでもフラットのところを弾きます。

このように並べていけば、どの音からでも音階が作れます。二長調・ロ長調・ト長調などがあるのはそのためです。

♭(フラット)と♯(シャープ):歌をうたったときに「フラット気味だね」なんて聞くこともあるかもしれません。フラットは「下がる(下げる)」という意味。シャープは逆で「上がる(上げる)」ことです。ピアノの鍵盤でいうとその音の左側の黒鍵がフラット、右側の黒鍵がシャープです。黒鍵がない場所はもともと半音の幅ですから、たとえばミのシャープは隣の白鍵(=ファ)になります。

なぜいろいろな調があるのか?

理由その1 音の高さ

楽器にはそれぞれ「出せる音域」があります。だから調によってはその楽器に適していない音域になってしまうこともあります。

歌はもっとわかりやすくて、人によって出せる音域は違いますよね。カラオケで「半音上げる(下げる)」とか「1音(全音のこと)上げる(下げる)」というのは調を変えていることなのです。

理由その2 調の個性

それぞれの調には音の響きの雰囲気があって、きらきらしている・哀愁がある・明るく元気…というように違いがあります。

クラシックの作曲家は微妙な響きの違いで調を決めているようです。たとえば、ショパンの「雨だれ」という曲はフラットがついている調なんですが、これをシャープの調に変えて弾いてみると、「しっとりとした哀愁のある雨」が「きらきらした輝く雨」に聴こえてしまうそうです。作曲家はそこまでイメージしているんですね。

ショパン 雨だれ

長調と短調の違い

簡単に区別すると長調は明るい・短調は暗い、という感じです。

短調は長調と音の並び順が違います。黒鍵を使わない一番単純な短調はイ短調、ラから始まります。

ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ

音の幅を見てみると、

ラーシ(全音)シード(半音)ドーレ(全音)レーミ(全音)ミーファ(半音)ファーソ(全音)ソーラ(全音)

全音ー半音ー全音ー全音ー半音ー全音ー全音、これが短調の音の並び順です。これにしたがって音を組み立てていけば、どの音からでも短調ができるというわけです。

ただし短調はクセモノで、最後の全音(7番目から8番目に向かう時、上記ならソーラの部分)を半音にすることがよくあります。これは音楽の性質上のもので「そこが半音の方が収まりがいい」「聴いていて気持ちがいい」からなのです。半音の幅にするために7番目の音(上記ならソ)に臨時でシャープをつける、ということがよくあります。専門的には「和声的短音階」といいます。

変ロ長調の「変」って何?

「変」とは「フラット」のことです。変ロ長調は「シの♭から始まる長調」のこと。

あまり聞かないかもしれませんがシャープのことは「嬰(えい)」といいます。嬰へ短調(ファの♯から始まる短調)とかね。

異名同音のお話

お気づきのかたもいるかもしれませんが、ひとつの音でどっちにもとれる音があるじゃないか!…と。

たとえば、ドのシャープはドの右隣の黒鍵です。で、レのフラットはレの左隣の黒鍵。同じじゃないか!

同じです!

これを異名同音といいます。音階というものを理屈で考えるときに、呼び名が違ってきます。実際には同じ音なのです。

特に混乱しがちなのは、ミのシャープとか。ミのシャープは隣に黒鍵がないので、すぐ右隣の白鍵になります。つまりファなんです。「ファなんだけど理屈上(楽譜上)ミの♯と表示してある」ということがよくあって、迷う人もいます。

まとめ

今回は調性の基礎の基礎をお話しました。一度にたくさんの情報を処理するのは大変なのでここまでということで。

音楽は感覚的なものと思われがちですが、楽譜はとても理論的・数学的なものでいろいろな法則があります。それを知るのも知的好奇心をくすぐるものではないかと思います。

次は「シャープがたくさんついている曲・その仕組み」についてお話します。


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