ピアノ 子どもの心理

【ピアノの先生向け】幼児のピアノ、教え方のコツ

ピアノ教室を運営されている方、ピアノ教師として音楽教育に関わっている方に、幼児に対するピアノレッスンのコツをお伝えします。

幼児の特性を理解しましょう

音楽大学を卒業して、まだ教えることについては「初心者」だった頃、私はこんなふうに思っていました。

子どもでもゆっくり弾かせれば弾ける、じっくりとていねいに教えれば楽譜は読めるようになる

これは大きな間違いでした。

子どもには大人とは違った捉え方があるのです。

ただただ「ゆっくり」では飽きてしまう子もいるし、ゆっくりすぎて何を弾いているかわからなくなってしまう現象も起きます。

また、楽譜は「じっくり丁寧に」教えても効果が上がらないことがあります。それは「大人の捉え方」と「幼児の捉え方」が根本的に違うから。大人の理論で子どもに伝えてもすんなりと入っていくとは限らないということです。

ひとつの例として、大人は楽譜をよく見て音を把握して(音符にカナを付けたり)それから弾こうとします。子どもにとってピアノはおもちゃのひとつで、とにかく「触ってみる・音を出してみる」その延長で弾きたい曲があったら音を出してみて弾けちゃう。いわゆる「耳コピ」というものですが、これを否定することはないと思うのです。楽譜が先か、音が先か?という違いだけで、ピアノの先生としてはそこからどのように楽譜に結び付けていくか?ということが問題なのではないかと思います。

実例・ピアノレッスン

1.リズムのとらえかた

3歳~4歳(年少~年中)の子は理論的に説明しても、それを理解できる力がまだ備わっていないでしょう。この段階で難しいことを詰め込もうとすると拒否反応を起こしてしまいます。ピアノ嫌い・音楽嫌いを作りたくはないですね。

幼児にはもっとざっくりと伝える。そして効果的なのは身体動作を加えることです。

これはリトミックの手法になります。幼児には本当に効果的です。

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音符の捉え方

たとえば2分音符。「4分音符の倍の長さ」といっても捉えづらい。これは「ゾウさんが歩くみたいに、どっすん、どっすん。」「体の前で大きく手をたたいて、ターアン、ターアン」

4分音符は「ウサギさんが歩くように」「手でグーを作っておひざたたき、ターター」

8分音符は「リスさんが走るよ」「一本指でほっぺをティティ」(NPO法人リトミック研究センターのリトミックより)

机に向かってただただ覚えるやり方よりも、体を動かしながら覚える方が圧倒的に効果がある、というのは最近は広く知られていることです。リトミック的に音符を覚えていくのはまさにそのやり方。

実際に2分音符で歩いたり、8分音符で走って「音価」を体感します。そのような大きな動きから、次は手を使って声に出しながら(ター、ターアン、ティ)確実に身につけていく、それを目指します。

2.音符(楽譜)のとらえかた

「わ~!子どもってそういう目で見てるんだー」という事例を、私の経験からいくつかお話します。

  1. 2分音符は「黒い4分音符」に対して「白い丸の2分音符」と指導していましたが、あるとき「穴が空いてる」と子どもに言われました。目からうろこ、です。なるほど!確かにそう見える。それ以降はこの「穴が空いている音符」という言い方にしています。どうやらその方が理解しやすいようです。
    二分音符

    二分音符=穴が空いている

    四分音符

    四分音符=黒い音符

  2. 右手の音と左手の音、同じ音を弾こうとすると指は逆になります。(ドレミファソは右手なら1-2-3-4-5、左手だと5-4-3-2-1)(*数字はピアノの指使い:親指=1・人差し指=2・中指=3・薬指=4・小指=5)子どもは「同じ指を動かす」ことはできても「同じ音を弾く」ことが難しい。そのため、初期のレッスンでは中央のドから両側へ徐々に音を広げていくとスムーズに進みます。最近の教本はそのようなつくりになっているものが多いです。
    指番号

ココがポイント

子どもは鏡文字を書くことがありますが、音符も鏡のように見えることがあるようです。ト音譜表の「ドレミ」とヘ音譜表の「ドシラ」は同じように見える。指導者側も子どもと同じ目線で音符を見るようにすると、だんだん子どもの気持ちがわかってきます。また、指も1・2・3の指はなんとか思い通りに動いても、4・5の指はなかなか思うように動かない、誰でも経験することですが、「人間のからだは中心から左右対称にできている」ことを踏まえて指導に活かせたらいいかと思います。これも訓練でいろんな動きができるようになるんですから、人間の能力はスゴイのです!

幼児ならではのおもしろさ

落ち着かない・体が揺れる

幼児は自分の体を思い通りに動かすこともままならないのです。大人なら造作なくできることも、幼児にとっては難しいもの。「道具」を使うというのは高度な技術になるんですね。ましてや「ピアノを弾く」なんて。

ピアノは打てば音が出ます。が、楽曲として音の流れを作るとか、両手の動きを統合する、となるとそう簡単にはいきません。

音を出すのは指先ですが、それらをまとめていくためには体全体のコントロールが必要になってきます。

ところが幼児期はこれが未発達。

なので、体がふらふら揺れる・お尻があちこち動く・足がブラブラ動く、など落ち着かないことがよくあります。

これは体の成長の問題ですから、だんだん整ってきます。それまではその都度注意して、根気よく指導していくことですね。

体が成長するまでは仕方ないこと。根気よく指導しましょう。かならず落ち着いてきます。

先生の気をそらす

急に脈絡のない話を始めたり、鍵盤で遊び始めたり、耳を触る・咳をする・ペダルを踏む…など、幼児はいろんなことを仕掛けてきます。原因は…

  • ただ単純に話したい・遊びたい
  • その曲を弾くのがイヤだ

で、「イヤだ」の中にも

  • 実際に弾いてみて難しいから。
  • 弾いてはいないんだけど難しそうだから。

など、子どもなりのいろいろな理由があるようです。

もし「難しそうだ」と思っているようなら、子ども目線に降りて「どこが難しいのか?」を真剣に考えることです。子どもの立場に立って「どうしたら弾けるようになるか?」考える。そこから改善策を見つけて弾けるようになれば、生徒も先生も嬉しくなります。喜び倍増です。

「弾きなさい、練習しなさい」の上から目線をやめ、「どうしたら弾けるようになるか?」を子どもと一緒に考えましょう。

先生も子どもと一緒に成長する

子育てについては親御さんもピアノの先生も同じように悩みます。誰だって不安を持ちながら子どもと接しているのです。

絶対的な正解はありませんから。

ピアノの先生も子どもと一緒に成長していきましょう。そのためにも「子どもの目線に立つ」「子どもの気持ちを想像する・思いやる」ということが大切になってきますね。

先生の気持ちはかならず子どもに伝わって信頼関係が築けると思います。


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